今回のブログでは、AI(人工知能)技術を活用したOCR(OpticalCharacterRecognition:光学文字認識)アプリについてご紹介します。
AI-OCRとは、AI技術を駆使して、紙の書類や画像上の文字を自動的に読み取り、デジタルデータに変換する技術のことを指します。
特に、ビジネスの現場では、請求書や契約書などの大量の紙書類を手作業でデジタル化するには多くの時間と労力がかかります。
AI-OCRを導入することで、これらの作業を自動化し、効率化できるため、多くの企業が注目しています。
AppSheetを使ったAI-OCRの概要
今回ご紹介するのは、Googleが提供するノーコードアプリ作成プラットフォーム「AppSheet」を使用したAI-OCRアプリです。
AppSheetは、プログラミングの知識がなくても、簡単にカスタマイズ可能なアプリを作成できるツールです。今回のAI-OCRアプリは、特に請求書の自動処理に焦点を当てています。
AppSheetを使うことで、例えば、Googleドライブにアップロードされた請求書のデータをAIが自動的に解析し、そのデータを他のシステムに連携する、といった一連の作業をスムーズに行うことができます。
これにより、手動で行っていた煩雑な作業を一気に効率化し、時間とリソースを節約することが可能です。
AI-OCRアプリの基本的な動作フロー
本アプリではAI-OCRで請求書を自動処理します。
AI-OCRアプリは、非常にシンプルな動作フローを持ちながらも、請求書の自動処理を効率的に行えるように設計されています。(もちろん、ノーコードツールのAppSheetであれば請求書以外のAI-OCRも対応可能です!)
ここでは、3つの主要なプロセスに分けて、その流れをご説明いたします。
1.データの一括読み込み
最初に行う作業は、データの読み込みです。請求書は、GoogleドライブにアップロードされたPDFファイルや画像データとして処理されます。
AppSheetのアプリケーションがこれらのファイルを認識し、AI-OCR機能を使って内容を読み込んでいきます。
今回のデモでは、複数の請求書を一括で処理する例を使用していますが、数が多くてもスムーズに対応できます。
異なる形式の請求書でも問題なく読み込みができるため、業務において様々なフォーマットの書類が発生する場合でも安心です。
2.AIによるデータ解析
次のステップは、AIによるデータ解析です。AppSheetにアップロードされた請求書は、AIを用いて解析されます。AIは、請求書の内容から必要なデータ(例えば、会社名、請求日、支払期限、請求金額など)を自動的に抽出します。
また、AIは単なるデータ抽出だけでなく、データの正確性を確保するために、問題が発生した場合は「要確認」メッセージを表示してくれます。
もしデータの一部が不完全な場合には、ユーザーに注意を促し、確認を求めることができます。
3.CSVデータの作成と他システムへの連携
最後のステップは、CSVデータの作成です。解析が完了した請求書のデータは、CSVファイルとしてエクスポートされ、Googleドライブに保存されます。
このCSVファイルを、他のシステムと簡単に連携できる形式にしておけば、財務管理システムや支払処理システムに直接取り込むことで、そのまま自動処理を進めることが可能です。
このプロセスによって、手動でのデータ入力や確認作業の大幅な削減が期待できます。また、システム連携によって、データの整合性が保たれ、業務フローがよりスムーズになります。
請求書の読み込みデモ
それでは、具体的なデモンストレーションに基づいて、このAI-OCRアプリがどのように動作するかを見ていきます。
Googleドライブへ請求書アップロード
まず、請求書のアップロードから始めます。AppSheetアプリでは、Googleドライブにアップロードされた請求書を自動的に認識し、読み込みを開始します。
今回のデモでは、3枚の請求書がGoogleドライブにアップロードされており、それぞれ異なる会社やフォーマットの請求書です。アップロードされた請求書は、数に制限はなく、複数のファイルでも一括で処理が可能です。
アプリによる読み込み
AppSheetアプリから読み込み実行ボタンを押せば、自動的にその請求書データを読み込みます。
このプロセスは、アプリ内の「処理開始」ボタンを押すだけで完了します。アップロードされたPDFデータや画像データはすべて自動でAppSheetに取り込まれます。
データ確認
この時点で、AppSheetのアプリ上に読み込まれた請求書データが表示され、AIによる解析が待機状態になります。と、ユーザーはその内容を確認することができます。
AIによるデータ解析
請求書がAppSheetにアップロードされると、次のステップとしてAIによるデータ解析が行われます。このプロセスでは、AIが自動的に請求書の内容を読み取り、必要な情報を抽出します。
解析結果の確認
AIによるデータ解析が完了すると、結果がAppSheetの画面に反映されます。
今回のデモでは、3枚の請求書が読み込まれ、解析された結果がそれぞれ表示されました。解析結果は「正常読み込み」か「要確認」として分類されます。
「正常読み込み」の場合、AIは請求書のすべての情報を問題なく抽出できたことを示しています。一方で、「要確認」と表示された場合は、何らかのデータが不足している、もしくは不正確である可能性があります。この「要確認」メッセージが表示された場合、ユーザーはその内容を確認し、必要に応じて修正を行うことが求められます。
今回「要確認」となったデータ
デモの中で、「要確認」として表示されたのは、支払い期限が読み取れなかったケースです。このような場合、AIが請求書の中に支払い期限を見つけられないと「支払い期限がありません」といったメッセージが表示されます。
例えば、デモの請求書の一つには支払い期限が記載されていなかったため、AIがその情報を抽出できず、「要確認」としてフラグを立てました。
このような状況では、ユーザーは請求書の内容を確認し、必要なデータ(例えば支払い期限)を手動で入力することになります。
今回のデモでは、支払い期限を「11月30日」と手動で設定し、AI解析の結果を更新しました。このように、AIによるデータ抽出が完了しても、内容に不備があれば簡単に修正ができる点が、このアプリの便利な機能の一つです。
CSVファイルの作成
データ解析が完了し、必要な修正が加えられた後は、次にCSVファイルの作成を行います。このプロセスは、解析された請求書データを他のシステムに取り込むための重要なステップです。
請求書データのエクスポート
AppSheetのアプリでは、解析された請求書データを簡単にCSVファイルとしてエクスポートすることができます。
今回のデモでは、請求書の発行期間を11月1日から11月30日までに設定し、該当する請求書データをエクスポートしました。
この機能を使うことで、デジタル化された請求書データを他のシステム(例えば、会計ソフトや財務管理システム)に連携することが可能になります。
CSVファイルの作成は非常にシンプルです。ユーザーはAppSheetのアプリ内で「CSV作成」ボタンを押すだけで、指定された期間の請求書データが自動的にCSV形式で出力されます。
CSVファイルのGoogleドライブへの保存
CSVファイルが作成されると、そのファイルは自動的にGoogleドライブに保存されます。この仕組みは、クラウドベースでデータを安全に保管できるだけでなく、他のユーザーやシステムとデータを共有する際にも非常に便利です。
今回のデモでは、2024年11月分の請求書データがCSVファイルとしてGoogleドライブに保存されました。ユーザーはこのCSVファイルを開いて内容を確認し、必要に応じて支払システムやその他の業務フローに取り込むことができます。
CSVファイルの自動作成と保存によって、手動でデータを入力したり、誤入力のリスクを減らすことができるため、業務全体の効率を大幅に向上させることが可能です。
本アプリについてはこちらの動画でも詳しく解説しています。
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AI-OCRの他分野への応用
今回のアプリでは、Googleドライブに請求書をアップロードし、AppSheetを通じてAIがそのデータを解析します。
たとえ異なるフォーマットの請求書が混在していたとしても、AIは柔軟に対応し、重要な情報(会社名、請求金額、支払い期限など)を抽出してくれます。
この仕組みによって、複数の請求書を一度に処理することが可能となり、大幅な業務の効率化が図れます。
いろいろな帳票に応用できる!
AI-OCRの応用範囲は請求書に限りません。
この技術は、領収書、契約書、保険申請書、さらには運送業で使用される出荷伝票など、あらゆる種類の書類に適用可能です。
AIの強みは、その柔軟性にあります。異なる形式や内容の書類を迅速に処理し、それをデジタル化することで、紙の書類管理に伴う手間を大幅に削減できます。
このように、AI-OCRは幅広い業種や用途でその効果を発揮する技術です。それをAppSheetならば自社で作ることができます!
AI-OCRを自社向けにカスタマイズ
AppSheetは、ノーコードプラットフォームとして、自由にカスタマイズが可能です。今回のデモでは請求書処理を中心に取り上げましたが、AppSheetは他の業務にも応用できます。
前述した通り、
- 領収書
- 契約書
- 在庫管理表
- 検査表
- 配送伝票
など、様々な業務プロセスに合わせたAI-OCRのアプリケーションの開発が可能です。
AppSheetは、ユーザーは自社のニーズに合った機能を追加したり、既存のアプリをカスタマイズすることができます。
さらに、他のGoogleサービスとの連携も強力です。GoogleドライブやGoogleスプレッドシートを活用して、データの保存や共有、分析を一貫して行えるため、デジタル化された業務フローを効率的に管理できます。
自社向けAI-OCRを検討中の企業様へ
もし、AppSheetを使ったAI-OCRアプリにご興味をお持ちの方は、ぜひご連絡ください。
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