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申請業務はAIに丸投げ!GeminiとAppSheetで実現する次世代の稟議システム
企業の成長に欠かせない稟議申請。しかし、その作成や確認作業に多くの時間を費やし、「もっと効率的に進められないか」と感じている方も多いのではないでしょうか。
「申請理由をまとめるのが大変…」
「添付した見積書の金額と申請金額が合っているか、一つひとつ確認するのが面倒…」
「そもそも、この内容で承認がもらえるだろうか…」
こうした申請業務にまつわる悩みは、もはやAIに丸投げできる時代になりました。
今回は、稟議書の作成から、内容、さらには添付ファイルとの整合性チェックまでをAIがサポートしてくれる、画期的な仕組みとその実現方法についてご紹介します。
稟議の作成からチェックまで、すべてフローの中で完結
この仕組みのすごいところは、AIが単に稟議書を作成してくれるだけではない点です。稟議の内容や添付された契約書・見積書まで含めて精査し、不備がないかをチェックしてくれます。
そして、これらのプロセスはすべて、普段お使いの業務アプリケーションの中で完結します。わざわざAIのチャット画面(ブラウザ)を立ち上げて質問を投げかける、といった手間は一切ありません。
この便利な仕組みは、以下の2つのGoogle製ツールを組み合わせることで実現しています。
- Gemini(ジェミニ):Googleが開発した高性能な生成AI。文章の作成や要約、分析など、幅広いタスクをこなします。
- AppSheet(アップシート):プログラミングの知識がなくても、自社の業務に合わせたアプリケーションを開発できるGoogleのノーコードツールです。
この2つを連携させることで、稟議の作成からチェック、そして申請までの一連の流れを、一つのアプリ上でシームレスに行えるようになるのです。
AI稟議申請アプリの仕組みとデモンストレーション
それでは、このAI稟議申請アプリが実際にどのように動作するのか、その仕組みを見ていきましょう。アプリの全容をご理解いただくために、まずは今回デモンストレーションを行うアプリの「前提条件」からご説明します。
デモの前提条件:アプリの基本設定
今回ご紹介するアプリには、AIが正しく機能するためのルールが事前に設定されています。大きく分けて2つの前提条件があります。
前提1:稟議カテゴリーと承認フロー
まず、このアプリでは申請できる稟議の種類(カテゴリー)を定めています。今回は例として、以下の2種類を用意しました。
- システム導入
- 契約締結
さらに、「システム導入」の稟議については、申請金額によって承認フローが分かれるように設定しています。
- 100万円以下のシステム導入
- 100万円以上のシステム導入
このように、稟議の種類や重要度に応じて承認ルートを自動で変更する設定が可能です。もちろん、これらのカテゴリーはあくまで一例であり、自社の運用に合わせて3つ、4つと自由に追加・カスタマイズできます。
前提2:フローごとに最適化されたAIチェックプロンプト
こちらが、この仕組みの最も重要なポイントです。
AIに的確なチェックをさせるためには、「どのような観点でチェックしてほしいか」という指示、いわゆるプロンプトを事前に設定しておく必要があります。
このアプリでは、先ほどの「前提1」で設定したフローに応じて、AIに与えるプロンプトが自動で切り替わるように設計されています。
- 「100万円以下のシステム申請」の場合:
→ このプロンプトで稟議内容をチェックしてください。 - 「100万円以上のシステム申請」の場合:
→ より厳格な、こちらのプロンプトでチェックしてください。 - 「契約締結申請」の場合:
→ 契約内容に特化した、このプロンプトでチェックしてください。
このように、ケースごとにチェックの基準を自由自在に設定できるため、画一的なチェックではなく、業務の実態に即した、きめ細やかで精度の高いAIチェックが実現できるのです。
前提が整ったところで、いよいよ実際の操作を見ていきましょう。
ステップ1:稟議を起票し、AIに作成をサポートさせる
基本情報の入力
まずはアプリから新しい稟議を作成します。
稟議番号は自動で採番され、起票者の名前や所属部署、起票日もログイン情報から自動で入力されるため、手間がかかりません。
次に、先ほど設定した稟議カテゴリーから、今回は「システム導入」を選択します。
AIによる稟議作成サポート機能
ここからがAIの出番です。「稟議作成AIサポート」という項目で「する」を選ぶと、入力項目が切り替わります。
今回は以下の3つの項目に、稟議の要点を入力していきます。
- 現状の業務課題と導入目的
(入力例)現状、ワークフローが紙媒体で手間がかかっている。これを電子化し、承認スピードアップとGoogleドライブへの自動保存を実現したい。 - 期待する効果
(入力例)回覧や承認にかかる時間が短縮され、書類も自動保管される。年間1080時間の工数削減(約200万円相当)を見込んでいる。
多少の誤字や箇条書きのようなメモでも問題ありません。AIが文脈を理解し、後ほど自然な文章に整えてくれます。
これらの情報を入力して一度保存すると、AIがこれらの内容を元に、正式な稟議理由を作成してくれます。
ステップ2:AIが申請内容と添付ファイルを自動チェック
保存後、少し待つとAIによる処理が完了します。
先ほど箇条書きで入力した内容が、以下のように説得力のある文章に書き換えられました。
現状、紙媒体による申請業務は、回覧に時間を要し、承認まで3営業日以上かかるなど、業務効率を低下させている。本件AppSheet導入により、これらのワークフローを電子化し、承認プロセスの迅速化とペーパーレス化を図る。
素晴らしいですね。続いて、この稟議に契約書ファイルを添付し、いよいよ内容のチェックに移ります。
AIチェックの実行とエラーの発見
画面上部に表示された「AIチェック」ボタンを押すと、AIが「入力された稟議内容」と「添付されたファイルの内容」を総合的にチェックし、整合性を判断します。
すると、今回はこのような結果が表示されました。
【AI判定】まだ申請できません
【理由】添付ファイルの契約書は55万円と費用が記載されており、申請の金額(30万円)と食い違っています。
なんと、AIが申請金額と契約書に記載された金額の違いを発見し、不備を具体的に指摘してくれました。これは人間が手作業で確認すると見落としがちなポイントです。このように、AIがダブルチェックしてくれることで、申請の手戻りを未然に防ぐことができます。
ステップ3:内容を修正し、AIが再チェック
不備の修正と申請の承認
AIからの指摘に基づき、申請金額を契約書に合わせた正しい金額(今回は税込55万円に相当する税抜50万円)に修正して保存します。
そして、再度「AI再チェック」ボタンを押します。
すると今度は、AIの判定結果が変わりました。
【AI判定】申請できます
【理由】添付ファイルの契約書の内容も金額と整合性が取れています。
見事に不備が解消されたことをAIが認識し、申請の許可が下りました。これで安心して次のステップに進めます。
ステップ4:承認フローの自動開始
AIから「申請できます」というお墨付きをもらうと、画面に「申請する」というボタンが出現します。
このボタンをクリックすると、あらかじめ設定されていた承認者(堀さん、加納さん、小林さん…)へと承認依頼が自動で通知され、正式な承認フローが開始されます。
このように、申請者はAIのサポートを受けながら迷うことなく稟議を作成でき、承認者は不備のない状態で回ってきた稟議をスムーズに確認できるという、双方にとってメリットの大きい仕組みが完成します。
ノーコードツールが拓く、自社に最適な業務改善の可能性
今回ご紹介した仕組みの最も素晴らしい点は、市販のパッケージシステムでは対応が難しかったり、機能が足りなかったりする部分を、ノーコードツールで見事に実現していることです。
各企業には、それぞれ独自のルールや文化に根差した業務フローが存在します。ノーコードツールであるAppSheetと、Geminiのような生成AIを組み合わせることで、そうした自社固有の要件にピッタリと合った、まさに「かゆいところに手が届く」システムを、柔軟かつ迅速に構築することが可能になります。
AIとノーコードツールを活用すれば、面倒な定型業務から人々を解放し、より付加価値の高い創造的な仕事に集中できる、新しい働き方を実現できるはずです。
当社では、今回ご紹介したGoogle AppSheetを活用した業務改善サービス「AppSheet Magic」をご提供しております。自社の申請業務を効率化したい、AIを活用した新しい仕組みに興味があるという方は、ぜひ詳細をチェックしてみてください。