Google AppSheetを導入した企業様は84%の業務工数の改善、年間48000分以上の業務工数の削減を実現しています。効果や導入の流れをまとめた資料をご用意しています。
AppSheetの業務改善の課題と事例が分かる!AppSheet Magic導入資料はこちら
【Google AppSheet】在庫を見える化してロスを削減!クリニック向け在庫管理アプリ

今回は「在庫を見える化してロスを削減」するための、クリニック向け在庫管理アプリについてご紹介します。
在庫管理というと、多くの方がExcelを使われているかもしれません。しかし、Excelでは「今の在庫数」を記録することはできても、「期限切れによる廃棄ロスを減らす」ことや、「発注のタイミングを逃さない」といったアクションに繋げる管理はなかなか難しいのが現状ではないでしょうか?
今回ご紹介するAppSheetアプリは、単に在庫数を管理するだけではありません。 「無駄を見える化」し、入庫・出庫・発注という業務の流れをシンプルかつ自然に回すことで、最終的に利益を守ることを目的としています。
この考え方はクリニックに限らず、在庫を持つ様々な業種で応用できる内容ですので、ぜひどのような仕組みなのかyoutubeも合わせてチェックしてみてください。
1. クリニック向け在庫管理アプリの概要
在庫管理だけではない!このアプリの目的
今回作成したアプリの最大の特長は、「在庫ロス(廃棄)を減らす」ことに重点を置いている点です。
例えば、医薬品や食品には必ず「使用期限」や「返品期限」があります。単に「今、何個あるか」という数字合わせの管理だけでは、棚の奥で期限が切れてしまい、結果として廃棄せざるを得ないという事態が起こりがちです。
このアプリでは、そうした「見えない無駄」を可視化(見える化)することで、適切なタイミングで返品や使い切りを促せるよう設計されています。
入庫・出庫・発注の業務サイクルを自然に回す仕組み
また、機能面では「管理のための入力作業」が負担にならないよう工夫しています。
- アイテム登録・入庫(バーコード等で登録)
- 在庫状況の確認(ダッシュボードで自動反映)
- 出庫・使用(先入れ先出しで処理)
- 発注(不足分をアラート検知)
この一連の流れが、アプリを操作するだけで業務として自然に回っていく。そんなシンプルな使い勝手を目指しました。この「基本フロー」は、クリニック以外の業種でもそのまま活用いただける汎用性の高いモデルです。
2. アプリの要!「在庫状況確認」ダッシュボード
このアプリで最も頻繁に使い、運用の中心となるのが「在庫状況確認」というダッシュボード画面です。ここでは大きく分けて3つの重要な情報がひと目で分かるようになっています。

全アイテムの在庫推移を可視化
画面の左側には、全アイテムの現在の在庫数がグラフで表示されています。 アイテム数が多い場合は、カテゴリーなどで絞り込みを行うことも可能です。絞り込むとグラフの軸も自動で調整されるため、全体像を把握したい時も、特定の薬品群を見たい時も、直感的に数量を把握することができます。
【ここが重要】期限切れを防ぐグルーピング機能
在庫管理で最も痛手となるのが「期限切れ」です。このアプリでは、在庫を使用期限ごとに自動でグルーピングして表示します。
- 安全圏: 期限まで十分に余裕がある在庫
- 期限切迫(返品・使用推奨): 期限が迫っている在庫
例えば、グラフ上の「安全圏」をクリックすると、まだ猶予がある在庫一覧が表示されます。 一方で、「期限が迫っている」グループを確認すると、「30日以内に返却しないといけないアイテム」などがピックアップされます。これにより、「気づいたら期限が切れていて返品もできない」という最悪のケースを防ぐことができます。
発注漏れを防ぐ「安全在庫」アラート
もう一つ重要な機能が、「発注点(安全在庫)」のアラートです。 在庫数が減ってくると、「そろそろ発注しないと欠品してしまう」というタイミングが来ます。
このダッシュボードでは、以下の条件に当てはまるものを自動で抽出して表示します。
- 在庫数が「安全在庫数」を下回っている
- かつ、まだ「発注」をしていない(未発注ステータス)
例えば、「インフルエンザワクチン」の安全在庫(発注アラート点)を「20個」に設定していたとします。現在の在庫が「15個」になった場合、設定値を下回っているため、このリストに「発注が必要です」というアラートとして表示されます。 担当者はこのリストを見るだけで、「今、何を発注しなければならないか」が瞬時に判断できる仕組みになっています。
3. 実務を想定した「入庫」から「出庫」までの流れ
ダッシュボードで状況が見えたら、次は日々の業務操作です。ここでは、現場の負担を最小限に抑えるための工夫を凝らしています。
【入庫処理】バーコード読み取りで効率化
商品が入荷した際、アプリ上のリストから商品名を目視で探してポチポチと選択する……これでは毎日大量に入荷がある現場では大変な手間になってしまいます。


そこで、実務での利用を想定し、バーコード読み取り機能を実装しています。 今回のアプリでは、医薬品の規格コードである「GS1コード」に対応させました。パソコンやタブレットに接続したバーコードリーダーで商品のコードを「ピッ」と読み込むだけで、自動的に商品情報が呼び出されます。
スタッフが行う作業は以下の2ステップだけです。
- バーコードを読み込む
- 入荷した「数量」を入力して保存
これだけで在庫テーブルにデータが登録され、即座にダッシュボードへ反映されます。
【出庫処理】「先入れ先出し」の徹底
在庫を使う(出庫する)際、最も重要なのが「先入れ先出し(FIFO)」の考え方です。特に医療現場や食品を扱う現場では、使用期限が近いものから順に使っていかなければなりません。
このアプリでは、出庫処理をすると自動的に「古いもの(期限が近いもの)」から引き当てられる仕組みを裏側で作っています。人間が「どれが一番古いかな?」と棚を探らなくても、システムが勝手に古い在庫から数を減らしてくれるのです。
また、安全設計として以下の機能も備えています。
- 出庫エラー防止: 在庫数が「5個」しかないのに「6個」出庫しようとすると、エラーが表示され保存できないようになっています。
- 在庫ゼロの自動消去: 使い切って在庫が「0」になったデータは、リストに残していても意味がないため、画面上から自動的に消去されます。
4. 在庫切れ・過剰在庫を防ぐ「発注・補充」フロー
在庫を使って数が減ると、次は「発注」が必要です。このアプリを使えば、棚卸しのために倉庫へ走り回る必要はありません。
ダッシュボードから発注必要品を一目で特定
先ほどご紹介したダッシュボードの「安全在庫以下・未発注」リストを見れば、今すぐに発注が必要なアイテムが一目瞭然です。
例えば、医薬品卸の業者さんが来院された際に、この画面を見ながら「インフルエンザワクチンが足りないのでお願いします」と伝えるだけで発注業務が完了します。 「あれ? あの薬足りてたっけ?」と迷ったり、発注漏れで焦ったりすることがなくなります。
ステータス管理による発注漏れ防止
業者へ注文を伝えたら、アプリ上でそのアイテムのステータスを**「発注済み」**に変更します。


すると、ダッシュボードのアラートリスト(未発注リスト)からそのアイテムが消え、発注残の管理に移ります。「発注済み」にステータスを変えることで、「これはもう手配したから大丈夫」と認識でき、二重発注を防ぐことができます。
そして後日、注文した商品が届き、最初の手順である「入庫処理」を行うと、在庫数が回復します。これにより、「発注済み」の状態から自動的に「在庫あり(問題なし)」の状態へとデータが更新され、一連の業務サイクルが完了します。
5. 利益を守る「在庫ロス削減」の仕組み
在庫管理において最も避けたいのが、使用期限切れによる「廃棄」です。特に返品可能な商品の場合、期限内に返品できれば損はしませんが、1日でも過ぎればそのまま損失(コスト)になってしまいます。
このアプリでは、そんな「うっかりミスによる損失」を防ぐための機能も搭載しています。
返品期限の自動計算とアラート
多くの商品には「使用期限」とは別に、「何日前までならメーカーへの返品が可能か」という返品期限が設定されています。 人間がすべての商品の返品期限を頭に入れて管理するのは不可能に近いですが、このアプリではデータを登録しておくだけで、システムが自動的に返品期限を計算してくれます。
ダッシュボードの「期限グループ」を見ることで、以下のような状態がひと目で分かります。


- 返品不可(ゼロ): すでに期限を過ぎており、院内で廃棄・処分が必要なもの
- 要返品(期限切迫): まだ返品可能だが、期限が迫っているもの
期限切迫品の返品処理フロー
例えば、ダッシュボードを見て「返却までの期限があと25日しかない」という商品があったとします。直近のデータを見て「このペースだと期限内に使い切れないな(1個も出ていないな)」と判断できれば、その時点で**「返品」**というアクションを取ることができます。
処理は簡単です。業者さんが来た際に、対象のアイテムを選んで「出庫処理」を行いますが、この時に種別を「返却」として登録します。 例えば「35個返却」として保存すれば、在庫データからその分がマイナスされ、ダッシュボードの「期限切迫アラート」からも消えます。
このように、アラートに従って早めに判断し、処理をする。これだけで、これまで気づかずに捨ててしまっていた在庫の廃棄コストを未然に防ぐことができるのです。
6. まとめ
データ入力だけで「正しい在庫状況」が作れる
今回ご紹介した「クリニック向け在庫管理アプリ」は、難しい操作や複雑な管理は必要ありません。
- 入庫時にバーコードを読み込む
- アラートに従って出庫・発注・返品を行う
基本的にはこのルーティンを回していくだけで、ダッシュボード上に常に正しい在庫状況が作られ、自然と在庫ロスや廃棄が減っていく仕組みになっています。「管理のための管理」ではなく、「利益を守るための管理」を、このアプリで実現していただければと思います。
テンプレート配布と開発代行サービスのご案内
今回の動画でご紹介したアプリは、テンプレートとしても提供しています。「まずは触ってみたい」という方は、ぜひ動画の概要欄をチェックしてみてください。
また、当社ではGoogle AppSheetを使った開発代行や内製化支援を行う「AppSheet Magic Service」もご提供しています。 「自院の業務に合わせてカスタマイズしたい」「導入をサポートしてほしい」というご相談も承っておりますので、こちらも合わせてご活用いただければ幸いです。









